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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

怪獣のような......

2024年、最後の日となりました。今年は今の勤務先につとめて10年経てのサバティカル(研究主体、授業少、学内業務無)でした。どんな1年になるかと思っていましたが、公私ともにいろいろ思い悩んだ年になりました。忙しい方が、かえって余計なことを考えずに済むのかもしれません。

それでも、家族との付き合い方の見直し、自身の体へのメンテナンスもでき、貴重な時間となりました。残り三ヶ月も、大事に過ごしていきたいです。

最後に、今年印象に残った「動物」ということで、11月の歌舞伎座で見た「ガマガエル」さんを紹介したいと思います。


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ネズミを追うガマ。

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相撲を取る(?)ガマと猪。

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どっちが勝った?

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お口をパッカーン。

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手を挙げて

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みなさんにこたえます。

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どアップ〜。

11月の歌舞伎座は、国立劇場の建て替えに伴い、「ようこそ歌舞伎座へ」と題した特別公演でした。初心者にもやさしい内容で、特に最初は動物たち勢ぞろい。ちょっとしたミュージカルのようで、爆笑の渦でした。

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なかでも、ガマガエルさんの可愛さが際立っていたように思います。

歌舞伎でガマガエルと言えば、歌舞伎狂言「児雷也豪傑譚」(河竹黙阿弥作)で、義賊の児雷也が使う妖術として登場します(大きなガマガエルの背に乗って出てくる)。漫画の「ナルト」にも登場しますね。

平安時代では、『古今和歌集』の仮名序に、「花に鳴く鶯、水に住むの声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」と、生き物はみな歌を歌うのだ!という例にとりあげられます。

その後も、夏の景(蛙の声)として、『蜻蛉日記』に登場します。

そういえば、『枕草子』はちょっと衝撃的。火櫃に蛙が飛び込んでしまう話があります。

どのあたりから妖怪化するのか、調べてみても面白いかもしれませんね。

私は、歌舞伎のガマを見ると、大好きな怪獣「ガメラ」(亀型怪獣)を思い出すのですが、蛙と亀は、『沙石集』(1283年)では、蛇と三者で親しくしている話があり(干ばつになると関係が変わるものの)、『狗張子』(1692年)では、2人の法師に化けた妖物の正体として、洞窟に2匹でひっくり返っていたと記されます。

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顔だけがちょっと似ているでしょうか...。

最後に、とりとめのない話になりましたが、そういえば、12月の歌舞伎座は「あらしのよるに」というヤギと狼が親しくなる絵本を原作とした(食う、食われる関係なのに)公演がありました。家族は絵本のファンでしたので、さらに楽しめたようです。

人間は、互いに「食う食われる」関係ではないのに、どうして争いあうのでしょう。来年こそ、平和な年になってほしいと願ってやみません。どうぞ皆さま、良いお年をお迎えください。


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