賛否両論ありましたが、東京オリンピック、本日閉会式を迎えます。
私が見たのは体操、新体操、ボルダリング(女子)、アーティスティックスイミング等です。
基本的に、相手と直接戦っている競技は、およそ私が見て応援するとなぜか負けます(苦笑)。
ということで、主に「己との闘い」である「芸術的」な競技を拝見。
それも、「最初から最後まで」ということはあまりないのですが、なぜか偶然、
こちらを見た時はビックリしました。
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新体操ウズベキスタン「セーラームーン」衣装とボールの演技が話題 - 新体操 - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
「あれ?何だろう。この衣装、似てるな」と思ったのですが、途中から「ムーンライト伝説」というアニメの主題歌まで流れたので、もう間違いないと思いました。
1990年代に放送していたアニメ「セーラームーン」(漫画原作)については、以前このブログでも書きました。→「セーラームーンとかぐや姫」
元ネタは上記でも書いたように『竹取物語』だと思うのですが、明確に作者が意識していなくても、「月のプリンセス」「地上への転生」「地球の王子との恋」といった内容は、『竹取物語』のテーマと重なります。
以前、私のゼミでは、ウズベキスタンからの留学生を受け入れていました。この国の民は多くがイスラム教で、日本とは大きく文化が異なります。その学生は、大学で第二外国語として日本語を勉強しており、その時、日本の文化をアニメや古典から知り、ぜひ留学して勉強したいと思ったそうです。最終的には『源氏物語』で博士論文を書いて母国に帰りました。
学生は、千年以上も前に、このような大作を残した女性作家がいたことに、大変感銘を受けたようです。また『源氏物語』が女性の生き方を問う内容でもあることから、母国語に翻訳して広く読んでもらいたいという志も持っていました。
世界では、女性は保護する対象であり、男性の劣位にあるのが当然と考えられている国が多くありますが、「セーラームーン」はそのような世界に生きる女性たちも、応援してくれるアニメなんだなと改めて思います。
そして、その背後には、男性の結婚を拒否し続け、最後は帝をも袖にして月へ帰る「かぐや姫」の存在があります(「セーラームーン」では地球の王子と両想いになりますが)。自分の意志を貫くかぐや姫に、どれだけの女性たちが憧れ、救われてきたことか、そしてこれから先も、不可侵の神々しい存在としてあり続けることでしょう。
また、もう一つ見つけた「古典」は、日本のアーティスティックスイミング(団体・フリー)の曲中に流れた「天(あま)つ風 雲の通ひ路(ぢ)吹き閉じよ をとめの姿 しばしとどめむ」(古今和歌集・雑上・872・良岑宗貞)の和歌でした。
こちらの歌は「百人一首」でおなじみですが、『古今和歌集』の詞書によれば、宮中で舞う、五節舞姫(ごせちのまいひめ)を見て詠まれたとか。
五節舞も、4人以上の少女で舞っていたので、水中で舞う乙女たちと重なりますが、和歌では、地上にひととき舞い降りた天女が天へ帰ってしまわないように、風が雲の通り道をふさいで、もう少し地上に少女たちの姿を留めてほしいと願っています。
確かに、水中での演技の方も、「もう少し長く見ていたい」と思わせる素晴らしいものでした。
また、もう一つ想起したのは、古代からある天人女房譚です。天女たちが水浴びをしていた時に、そのうちの一人が羽衣を隠されて天へ帰れなくなり、地上の男と結婚するお話(最後は羽衣を見つけて天に帰っていく)。アーティスティックスイミング(団体)は、その「天女」と「水辺」との関わりも踏まえているようで、面白かったです。
オリンピックは、多くの国々が開催国、また自国の文化を意識する場でもあるのだと改めて思いました。
私が見たのは体操、新体操、ボルダリング(女子)、アーティスティックスイミング等です。
基本的に、相手と直接戦っている競技は、およそ私が見て応援するとなぜか負けます(苦笑)。
ということで、主に「己との闘い」である「芸術的」な競技を拝見。
それも、「最初から最後まで」ということはあまりないのですが、なぜか偶然、
こちらを見た時はビックリしました。
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新体操ウズベキスタン「セーラームーン」衣装とボールの演技が話題 - 新体操 - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
「あれ?何だろう。この衣装、似てるな」と思ったのですが、途中から「ムーンライト伝説」というアニメの主題歌まで流れたので、もう間違いないと思いました。
1990年代に放送していたアニメ「セーラームーン」(漫画原作)については、以前このブログでも書きました。→「セーラームーンとかぐや姫」
元ネタは上記でも書いたように『竹取物語』だと思うのですが、明確に作者が意識していなくても、「月のプリンセス」「地上への転生」「地球の王子との恋」といった内容は、『竹取物語』のテーマと重なります。
以前、私のゼミでは、ウズベキスタンからの留学生を受け入れていました。この国の民は多くがイスラム教で、日本とは大きく文化が異なります。その学生は、大学で第二外国語として日本語を勉強しており、その時、日本の文化をアニメや古典から知り、ぜひ留学して勉強したいと思ったそうです。最終的には『源氏物語』で博士論文を書いて母国に帰りました。
学生は、千年以上も前に、このような大作を残した女性作家がいたことに、大変感銘を受けたようです。また『源氏物語』が女性の生き方を問う内容でもあることから、母国語に翻訳して広く読んでもらいたいという志も持っていました。
世界では、女性は保護する対象であり、男性の劣位にあるのが当然と考えられている国が多くありますが、「セーラームーン」はそのような世界に生きる女性たちも、応援してくれるアニメなんだなと改めて思います。
そして、その背後には、男性の結婚を拒否し続け、最後は帝をも袖にして月へ帰る「かぐや姫」の存在があります(「セーラームーン」では地球の王子と両想いになりますが)。自分の意志を貫くかぐや姫に、どれだけの女性たちが憧れ、救われてきたことか、そしてこれから先も、不可侵の神々しい存在としてあり続けることでしょう。
また、もう一つ見つけた「古典」は、日本のアーティスティックスイミング(団体・フリー)の曲中に流れた「天(あま)つ風 雲の通ひ路(ぢ)吹き閉じよ をとめの姿 しばしとどめむ」(古今和歌集・雑上・872・良岑宗貞)の和歌でした。
こちらの歌は「百人一首」でおなじみですが、『古今和歌集』の詞書によれば、宮中で舞う、五節舞姫(ごせちのまいひめ)を見て詠まれたとか。
五節舞も、4人以上の少女で舞っていたので、水中で舞う乙女たちと重なりますが、和歌では、地上にひととき舞い降りた天女が天へ帰ってしまわないように、風が雲の通り道をふさいで、もう少し地上に少女たちの姿を留めてほしいと願っています。
確かに、水中での演技の方も、「もう少し長く見ていたい」と思わせる素晴らしいものでした。
また、もう一つ想起したのは、古代からある天人女房譚です。天女たちが水浴びをしていた時に、そのうちの一人が羽衣を隠されて天へ帰れなくなり、地上の男と結婚するお話(最後は羽衣を見つけて天に帰っていく)。アーティスティックスイミング(団体)は、その「天女」と「水辺」との関わりも踏まえているようで、面白かったです。
オリンピックは、多くの国々が開催国、また自国の文化を意識する場でもあるのだと改めて思いました。