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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

姉は雪の女王

先日、クリスマスの日に、映画「アナと雪の女王2」を見てきました。続編、あまり期待していませんでしたが、なかなか面白かったです。

映画の舞台、テーマは「秋」・・・・・・赤い紅葉の舞い散る様子が印象的でした。前回は、アレンデール王国の「夏」が、エルサの氷の魔法によって「冬」にされてしまったわけですが、今回は実りの、そして新たな始まりの「秋」なのです。今回は、異常気象ではなく、順当に「秋」から「冬」へ季節は移り変わるはずでした。

しかし、エルサには不安が募ります。このままいつまでも変わらず、平和にいられるのかと。北からの呼び声は、そんなエルサを新たな境地に誘います。

............以下、ここからはややネタバレ。

前回、妹のアナは愛の力で姉のエルサを救い、エルサは自分の氷魔法の力をコントロールできるようになります。エルサの魔法は国民にも受け入れられ、人と違うことを隠すのではなく、その力を生かして「共生」することがテーマでした。またこれまで物語の王道であった「王子が姫を救って結婚する」(白雪姫、眠りの森の美女、等)というパターンを完全にずらすことにより(とはいえ、元々「雪の女王」は女の子が男の子を救うお話)、物語には一種の爽快感が生まれていました。

とはいえ、エルサ←アナ←クリストフの関係は、どこかもどかしく、それぞれが孤独を抱えていたようにも思います。

しかしそのもどかしさの答えは「オラフ」にありました。「オラフ」は映画中、何度も「大人になったら〜」と歌います。「大人になればいろいろな事が解決するのかも〜」と。

この歌は、いわば上記の3人に向けられたものでした。エルサとアナの仲は、子供のころ、エルサがアナを魔法で傷つけてしまったことから、一時的に断絶します。アナは姉の魔法の記憶を消されてしまっていたため、その理由がわからず苦悩しますが、姉の秘密を知った後は、互いの孤独だった時間を埋めるべく、姉に寄り添い、常に一緒に生きたいと願います。この姉妹の時間は、あくまで子供時代を取り戻すもので、その時間は長く続かないことを「オラフ」は歌っているのです。

エルサは自らを呼ぶ声に従い、北のアートハランへ向かい、己の魔法の力の意味と、存在意義を確認します。そして、より自分の特性を生かす道を選ぶのです。エルサは、アレンデール王国の女王ではなく、まさに「雪の女王」となります。

また、アレンデール王国は、妹・アナが女王として即位し、クリストフと結婚します。二人がそれぞれの道を行く結末・・・それこそ、二人が大人になった証拠でした(+クリストフも)。

話は変わりますが、平安時代後期に作られた『狭衣物語』の主人公・狭衣は、同母兄妹のように育った源氏の宮に恋をします。二人がいつまでもただの仲の良い兄妹でいられないことは、物語の冒頭部に示されます。

少年の春は惜しめども留まらぬものなりければ三月も半ば過ぎぬ。」


源氏の宮には、東宮から入内要請も来るようになり、二人は同じ邸内で、これまでのような関係ではいられないことが暗示されます。「少年の春は短い」→「大人の時間が始まる」というわけです。

また、自分の出生の秘密、というのが、日常から離れたところで明かされる、またそれを知るべく新天地を目指す、というのは、『源氏物語』の続編、宇治十帖の薫を思い起こさせました。

上手な続編、というのは、何か共通点があるのかもしれませんね。

さて、クリスマスにちなんだ、我が家の食卓をご紹介。
鶏肉はフライパンで、ケーキは炊飯器で作りました。
チキンとスープ

ガトーショコラもどき


アフタヌーンティールームにて

体があったまりますね〜。寒い冬の夜は、あたたかい飲み物に限ります。
アップルジンジャーティーは、映画の後、とあるお店でいただきました。

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