「桜紅葉(さくらもみじ)」は秋の季語。桜は他の木より早く色づき、散るのも早い。「日々の歳時記」の「今日の言葉」に目を通し、五徳庵の桜の古木を見上げた。かろうじて残っている数枚の古葉が快晴の秋空に見えた。これまでは、玄関先に散る「桜紅葉」を掃除していたが、今日からはその手間が省ける。
▼年末には、5年ぶりの「運転免許証」更新ができる。昨日は「認知機能検査」や視力検査など、事前に行う「運転適正検査」も合格できた。久しぶりに、昭和34年11月28日に交付された運転免許証を感慨の思いで眺めた。
▼この免許証とは、長年肌身離さず57年間も共に過ごして来た「わが人生」の生き証人でもある。250ccのバイクは、東京神楽坂で道路脇から飛び出した幼児を怪我させた。靖国神社の九段坂で、雨にぬれた都電のレールに乗りあげ転倒し、痛い思いの青春時代も知っている。
▼帰郷してから、普通免許を取得するが、出張試験場で2回目に合格した。家業の中古トラックを乗り回し、金沢の歓楽街を往復した。新車の「スカイライン」で家族を乗せての「大阪万博」。今は鬼籍にいる友人と、九州や四国に東北を巡るドライブ旅行の思い出もよぎる。
▼定年後は、中古車を乗り換えての今日に至っているが、雨露を凌ぐ程度の老体車を大事にしている。最近は駐車場での軽度の接触事故はあったが、運転違反の無い優良運転者。いずれは免許返却になるだろうが、ゴールド免許証を我が身に置き換えて、少しでも長く一緒に過ごしたい。
▼春の桜満開から花吹雪が散る。夏の葉陰で涼しさを満喫して、秋の風で散る桜紅葉。そして、来春までガイコツのような枝が冬空に耐える。古民家の庭に生きる老樹を、我が身の一生に例える一年でもある。「しわ顔の ゴールド免許に 秋の風 吾亦交」。
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