サクラの満開情報がご当地にも出始めてきた。「五徳庵」の玄関先にも、老木であるが七分咲きサクラが青空を覆い始めている。春を感じさせるのはやっぱり桜であるが、この時期を何十回も迎えて来たのに、去年の開花日を忘れている。桜の開花が春を知らせてくれる自然界のカレンダーに、いつもお世話になっている。
▼愛読している新聞のコラム「時鍾」にも、「さまざまなこと思い出す桜かな」の心情を詠んだ句に、老いるわが脳ミソの状態を不安がっている記事を見た。認知症は「記憶が消えたのではなく」、「思い出せない」だけで、有効な回想法は、昔のことを思い出す会話をすることだと。身近な記憶が思いだせない病?を持つ者からすると、「同病相憐む」の感もしないでなかった。
▼「サクラ」がつく言葉がたくさんあることを知っている。桜色した馬肉を「サクラ肉」と呼ぶ異称。露天店で客のふりをして、他の客の購買心をそそる人を「さくら」とも言う。芝居小屋では、客を装った見物人が掛け声を掛けて、芝居を盛り上げる役目で木戸銭無料の「さくら」と呼ばれたいた。歌舞伎の観客から、「中村屋!」の声が掛かる、そんな「大向う」の声援のルーツかもしれない。
▼桜咲くころに収穫する魚介類にもつく名前にも「サクラ・・・」がある。春に獲れる烏賊を「桜イカ」、桜咲くころに獲れる小鮎を「桜魚(さくらうお)」、駿河湾から漁獲される「桜エビ」、貝細工などに使われる「桜貝」、瀬戸内海で漁獲される「桜鯛」、「桜鱒」は日本海に多い、銀毛ヤマメで川から降海する。
▼大聖寺川土手の桜並木も見事に咲いている。きのう、リニューアルオープンした「流し舟」が盛況だ。電話での予約受付嬢や満席の人を乗せて出発する船頭さんらは、休憩も取れずに、いい汗をかいた初日だった。これまでよりはアップした乗船料には、加賀市の地産地消品でもある「銘菓と銘茶」のセットがついている。この「おもてなし」の評判がいいと、アイディアマンの船頭さんも、満面の「桜顔(さくらがお)」をしていた。
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