「呉越同舟」という言葉がある。「膝を交えて」、「腹を割って」、「気心の通じ合った者同士」が、同舟しての3時間の舟旅はあっという間に、「わが町の活性化」という舟着場へ到着した。大聖寺川の桜はまだつぼみだが、「ばん亭舟」では一足先に花が咲いた。舟を漕ぐ船頭さんの巧みな舵さばきも見事だったが、よくぞこれだけの異国人たちに声をかけて、同舟させた手腕は見事しか言いようがなかった。
▼舟先には江戸から、最先端の「地域活性化」と称して、「着地型観光とICT活用法」を伝授する二人の若サムライが便乗していた。時代はめまぐるしく変化している。幕末から維新にかけての、欧米情報と刀で切りあった、あの時代以上にスピードが速くなってきている。口コミ情報ニーズという日本語が定着して久しいが、それよりも質感量が大きく変わってきた。
▼「ガラケー系」から「スマホ―」時代に突入して、「老いも若きもスマホ―」なしでは付いていかれない。情報は携帯パソコンで検索する便利な時代になった。それも言葉でなく臨場感あふれる写真や動画で共感を与える。これまでの固定感念をぶっ飛ばす価値観の時代になった。
▼「高齢化社会」での介護システムが、今やっと動き出しているのに、この先が思いやられる。「ボケ防止体操」や「認知度対策」に行政が、やっと重い腰をあげたにもかかわらず遠くに見えた時代の津波は、15メートルの防波堤を飲み込んでしまう時代になった。と、江戸から来た若い衆の、「光は1秒間に地球を7周半する」話に傾聴した。
▼だが、「加賀百万石の支藩、大聖寺十万石」は、発展はしなかったために「埋もれた文化遺産」が残った。時代がどれだけ速くなっても、「先人の遺産」を探す人たちもいる。郷愁に思いを馳せる人もいる。そんな財産を残す人たちもいなければならない。時代の川の流れを知った上で、確実に残す一人になりたいと。傾聴しながら「ガンコ・ジジ」は、桜満開を「流し舟」に揺られながら見る夢を見ていた。
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