「無くて七癖(くせ)、有って四十八癖」。人には多かれ少なかれ癖がある。という。他人の癖には、敏感に感じるが、わが身の癖には、他から云われないと、気がつかないのも事実である。しかし、そんな癖を告げる人は、ごく身近な人でも、云わないのも常識である。
▼笑いを取る「ものまね芸人」の表現で、有名人の仕草やコトバの独特な合間のクセを、モノマネの「芸」として、表現する時に使うが、それ以外、他人の変なクセを表現することはタブーとされている。
▼むかし、総理大臣の演説なかに、出だしの「アウー、・・・」を何回云ったかを数えたことがあった。数は忘れたが、それもクセ。「弁舌さわやかな」政治家でなかったが、リーダーとしての実力があったらしい。その政治家を「アウーの人」で、通用していた記憶がある。
▼他人事ではないが。私にも、中学生のころ、「六発君(ロッパツくん)」というアダナが付いていた。授業中の質問や答える時に、「アノー・・・・」が6回あったという。それを数える同級生が、1発、2発・・・と、カウントする小声の情景を思い出した。「社会の時間」だった。
▼教科書に、戦前の政治体制のことが書かれていた。国を統治する全権限を天皇が握る専制政治(絶対主義的天皇制)がしかれていた。その「専制政治」のことを、質問した。戦後9年目のことだった。先生からの答えは、「そんな事は、どうでもよい」。
▼先日、出身県が違う人と、長時間一緒に過ごすことがあった。初対面だったから、これまでの人生の中からの世間話に花が咲いた。方言遣いのイントネーションで、固有名詞が解かりづらいのか、彼から何度もオウム返しに聞かれる。
▼私の方言混じりのコトバは、他県者が聞こえるクセ言葉。分からないもの理解できる。しかし、いちいち、オウム返しに問いただすのも「クセ」でなかろうか。
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