ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、日本国際交流センター(JCIE)と共同で、休眠預金活用事業(2022年通常枠)「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援」事業を実施しています。東京・大阪・名古屋を拠点とする5つの実行団体が参加し、外国にルーツを持つ人々が、地域で安心して暮らし、自立できる社会の実現を目指しています。
2025年7月9日・10日の2日間、名古屋にて本事業に関連するイベントを開催しました。9日に行われたシンポジウムは、名古屋で難民支援を行う実行団体「名古屋難民支援室(DAN)」の設立日(2012年7月9日)にあわせて実施されたもので、東海地域に暮らす難民の現状と、課題の改善に向けた地域での取り組みを広く伝える機会となりました。
1日目|シンポジウム「For Refugees, With Refugees―地域と難民、そして私たち」
7月9日に開催された公開シンポジウムでは、東海地域に暮らす難民や難民背景を持つ人々の声、そして彼らを支える地域の実践に焦点を当て、対話が行われました。
なかでも印象的だったのは、難民のホーリーさん(ニックネーム)との対話です。DANの支援を受けながら、5年の歳月をかけて難民認定を得た彼は、認定後も就労など生活面での課題が続いていることを率直に語ってくれました。それでも、新しい人生のスタートラインに立ったばかり、と前向きに歩み続ける姿に、多くの参加者が胸を打たれました。
参加者からは「サポートする側、される側ではなく、一緒に学び、変わっていくことが町や社会の変化につながると分かった」「日本に難民の方がいることすら知らずに過ごしていた。まずは知ることが大切だと感じた」といった感想が寄せられ、難民とともに生きる社会の可能性を考える貴重な時間となりました。
シンポジウムで行われたリレートークの様子©JCIE
2日目|実行団体連携会議とフィールドワーク
2日目の午前中には、実行団体5団体が一堂に会し、事業の最終年度に向けて、成果と今後の展望を見据えた連携会議が行われました。
「この事業でどのような変化が生まれたのか」「その変化をどう持続可能なかたちにしていけるのか」といった視点から、中長期のインパクトを見据えて、戦略と戦術の両面から活発な意見交換がなされました。
連携会議にて、SVAの発表©JPF
午後には、名古屋市北区にある地域交流拠点「ソーネOZONE」を訪問。施設を運営するNPO法人わっぱの会の代表・斎藤縣三さんのお話しを伺いました。
ここでは、障がいがある方、高齢者、外国人など、住宅の確保に配慮が必要な方々を対象とした居住支援の取り組みや外国人支援の事例が紹介されました。さまざまな事業にチャレンジしながら、地域住民と共に課題に取り組む姿から、多くの学びを得られるフィールドワークとなりました。
ソーネOZONEの前で©JCIE
最後に|難民支援は「地域づくり」の一部
2日間のイベントを通じて、難民支援や外国人支援は特別な活動ではなく、「誰もが暮らしやすい地域づくり」の一環であることを改めて実感しました。「隣人」としての関係を築くこと、そして多様な人々や団体、企業が共に学び、変わっていくことこそが地域や社会全体の変化へとつながっていきます。
10年以上にわたって支援を続けてきたDANの歩みとともに、"ともに生きる"社会のかたちを模索する貴重な時間となりました。
このアウトリーチ事業も、いよいよ最終年度。締めくくりに向けて、これまで培ってきた知見とネットワークを活かし、本事業の成果を次のステップへしっかりとつなげていきたいです。