鵠沼海岸からは電車を乗り継ぎ、バスを利用してやってきて、久留和海岸に降り立った子ども達を真夏の太陽光が容赦なく照りつける。
バス停に迎えに来てくれたマイケルさんに連れられて、しばらくは登りの坂道が続く。
アスファルトの道は熱く焼け、バックパックを背負った子ども達の足取りは重いく、「まだ?」「もう無理」と弱音も。
10分たったところの木陰で休憩をとり水分補給。さらにそこから10分歩くとアスファルトが途切れ、緑に囲まれた土がむき出しの林道に入っていく。
「森に囲まれた道は涼しいでしょう」涼しくなり、空気が香るように澄んだ変化に、子ども達もその変化を肌で感じているようでした。
畑に到着すると、マイケルさんが子ども達にレモンバームを配ってくれた。「天然の虫除けだよ」
様々な種類の植物が植えられている畑を見ながら、さらに坂を上がり、お手製の小屋に前に立つと、
見渡す限りは森の緑に覆われた山と遠くに水面が光る海が広がっています。
世界の素晴らしさと美しさを感じることのできる、誰にとって気持ちの良い場所。
子ども達の疲れもすっかり吹き飛ばされたかのような表情で見ていました。
カボチャ、トウモロコシ、大豆と種類の異なるものをお互いの相性を考えてあえて混合して植えているエリア。
ミツバチの巣箱や椎茸の原木、それに、苗作りの温室や肥料づくりの床、などなど。
古くから畑として利用されてきた土地だったそうですが、担い手がいなくなって数年放置されていたところに、
マイケルさんが出会い、仲間と数人でこの畑を再生させてきたそうです。
「海と山はつながっています。この土地の肥料を、海で拾ってきたたくさんの海藻を使っています」
と見せてくれたバケツには海藻を発酵させて肥料にしたものが入っていた。
子ども達は、小さな耕耘機を使い、土を耕し、オクラの種を植えさせてもらいました。
木陰のデッキで涼みながら昼食です。畑で取れたたての野菜たちをマイケルさんが集めてきてくれたサラダは、とっても美味で。
野菜が苦手な子もこんな時には、口にしてみよういう気持ちになるものですね。「ちょっと美味しいかも」なんて遠慮がちにいいながら。
昼食と休憩の時間が終わると、お世話になった畑を後にして、山と海をつなぐ川へ。
飲料できる水も湧いている小川の水は、澄んで気持ち良さそうです。
足を入れただけでもヒンヤリと全身に伝わってきます。
子ども達はみんな水着になり、探検したり、堰で段差になっているところでおもいっきり水を浴びたりしています。
子ども達の姿を見ながら哲学者の鶴見俊輔さんの言葉を思い出しました。
「日本人の学びの原点は、山野を跋渉(ばっしょう)することにある」と。
(
※(注記)跋渉とは、山や野に入り、水を越えるという意味だそうです)
ふたつ、みっつ世代の前までは、人々の営みの中に、自然の土や水に触れる機会がありました。
山にいっても、海にいっても、そこには務めをする大人たちの姿があり、子ども達はその傍らで手伝いやら遊びを見いだしていたのでしょう。
そんあ里山里海のつながりが体感できた一日でした。マイケルさん、ありがとうございました。
●くろまる講師紹介
マイケル・キダ(Michael Keida) 農家としてのチャレンジをしつつ、バイリンガルで子ども達の体験活動の場づくりも行っている。TVのレポーターやモデルとしても活躍中。