2008年「ミュージアムからアートの風を!」の風車プロジェクトからスタートしたSMFの活動も今年で5年目となります。「SMFアートのわっ!」、「交差する風・織りなす場」、そして昨年からは「Saitama Art Platform形成準備事業」と事業名称は変わってきていますが、いずれも入間市博物館、うらわ美術館、川口市立アートギャラリー、川越市立美術館、埼玉県立近代美術館という県内の公立ミュージアム5館がゆるやかに連携して実行委員会をつくり、文化庁のモデル事業・補助事業として実施してきました。
この事業には、各ミュージアム館内での展示、ワークショップやシンポジウムなどもありますが、館庭や公園、街路や商店街、鋳物工場や銭湯といった、暮らしに身近な場所でのアートプログラムが多数含まれています。こうしたアートのアウトリーチ活動を、ミュージアムを起点に無理のないかたちで展開していることが、この事業の特色のひとつに挙げられます。
また、美術作品の展示や造形ワークショップに限らず、館内に茶室ユニットを組んでそこでダンスや文学や音楽の複合セッションが展開されたり、伝統的なお囃子とモダンダンスがかけあいを演じたり、現代音楽のワークショップやライブかミュージアムで行われたりと、ジャンルの垣根を超えてさまざまなコラポレーションを醸成する場としての役割も果たしてきました。
この事業の多彩なアートプログラムの企画・運営を担っているのがSMF(Saitama Muse Forum)のメンバーです。埼玉県立近代美術館のミッションに共鳴し、美術、音楽、舞踊、建築、文学など、さまざまな分野で活動する方々が集い、「身近な場所でアートを享受し、支援し、再創造するブラットフォームをめざします」を旗印に、各ミュージアムのスタッフとともにこの事業を支えてくださっています。ミュージアムをキーステーションとしながらミュージアムに限定されない活動や、さまざまなジャンルを超えた協働がSMFを母胎として生まれてきています。
各美術館が相互に連携を図るとともに、各館を拠点として地域のさまざまな文化資源を活用するアートプログラムを、地域との協働により実現していこう。そのような活動のなかで得られたつながりやソフトや情報を蓄積・共有し、継続的なアート活動の基盤となるプラットフォームを築いていこう。というのがこの事業の基本となる考え方です。
前述のように、これまでの事業を通じてたくさんの出会いと交流が生まれ、その周辺でさまざまな協働がはじまっています。今年度も「ひろがる」をテーマに各地で多彩なプログラムが計画されています。Saitama Art Platformは、SMFとして既に具体化されつつあるとも考えられますが、文化庁の支援がなくともこうした活動が継続できるよう、自立のための財源をいかに確保し持続的なブラットフォームの設計をめざすのかが、今年の重要な課題となっています。(M.N.)
※(注記)タイトル、日程等が一部変更となる場合があります。各事業チラシやホームページ等で確認の上ご参加ください。
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展一広がる絵本のかたち」7/14〜9/2
歴史ある世界最大規模の絵本原画コンクールとして知られる「ブラティスラヴァ世界絵本原画晨」。2011年のグランプリをはじめとする受賞作品や、日本からの出品作品を中心に展示します。
「夏休みのアトリア 海のライン」7/24〜8/31
宮元三恵(美術家)と、たむらひろし(ワークショップクリエイター)を迎え、海にまつわる水・光・風・熱・音などをテーマに、身体感覚を呼び覚ます空間を提案します。
「開館10周年・市制施行90周年記念特別展II タッチアート!2 美術に触れるはじめの一歩」8/11〜9/30
いしぱしめぐみ、瀬畑亮、西尾路子の3人のアーティストによる子どもから大人まで楽しめる展覧会。作品の一部は直に手で触れてお楽しみください。
「ウルトラマン・アート!時代と創造—ウルトラマン&ウルトラセプン」7/7〜9/2
今日まで続く巨大ヒーローの原点となったウルトラマンとウルトラセブン。デザイン原画や造形物、そのイメージから生まれたフィギュアなどを、美術的な視点から属示します。
今回は、埼玉県立近代美術館「みんなで選ぶMOMASコレクションベスト10」をピックアップします。
開館30同年を迎えるMOMASでは、収蔵品への人気投票を実施中。1F吹き抜け周りを投票所に、選ばれた上位10作品が、第3期の「MOMASコレクション」に登場します。
MOMASの顔といえばモネの"積みわら"だけど、木村直道のユーモラスな"スカルブチュアー"、タレルの光の体験型作品も捨てがたい...!因みに担当学芸員の渋谷さんは、遠藤利克の『泉』推しだそう。こちらもクールで存在感たっぷりですね。
8/31までの投票期間に、ぜひ愛情込めた一票を。もの言わぬ作品たちですが、展示室にてあなたに会える日を心待ちにしているはずです。みんなのお気に入りが揃ったところで、SMFとのコラボをどう実現するか、利用者と一緒につくる美術館の未来を想像しながら知恵を絞っているところです。(A.0.)