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厳密に言えば、矢の弾道は放物線軌道に近い。弓なりの軌道である。
しかし、洋弓の矢の初速は60m/s=216km/h程度あるので、30mの競技距離を0.5秒で飛ぶ。重力加速度gを9.8m/s^2として、30mを飛翔すると空気抵抗を考慮しなければ、30mの距離で狙った方向よりgt^2/2=1.2m下に着弾することになる。したがって、射出方向は少し上方向40mラジアンであれば、的の中心に着弾する。このときの最高高度は、発射位置から約60cmの高度、地上約2mの高さまでしか上がらない。
この距離では、洋弓の場合ほとんど直線的に矢が飛ぶという感じである。
和弓の近的は約27mで、洋弓の屋外の最短競技距離30mとほぼ同じである。同じ射場で和弓と洋弓を一緒に射つ事もできる。もっとも、和弓のほうが矢速が遅く、操作が難しいので、洋弓のほうが命中率は高い。具体的に言うと、和弓の国体選手並の命中率を、洋弓なら3-6ヶ月の練習で達成できる。
男子洋弓の最長競技距離は90mである。時間にして1.5秒の飛翔時間がある。5-6mの上空まで上がる。射出方向は約5度上方向である。この角度は図上ではっきり認識できる角度の数倍であるが、体感的にははっきり上を向いて矢を射るという感触になる。アナエンは中級者なので、あまり90mを練習することはないが、大きく方向に外すと、相当の距離まで飛ぶので、ミスショットしても下方向に外す姿勢になりがちである。40度弱の方向に打てば数100m飛ぶ洋弓の矢である。実際に試したことはない。 私の場合90mは70mに比べて心理的に緊張する。着弾誤差は70mに比べ、90mは3割誤差が増えるだけであるから、70mで120cmの的を外さなければ安全に射てる距離のはずなのだが。
弓を趣味にしているという話をすると、矢はかなり弓なりに飛ぶのでしょうね。という質問が多くでる。私の感触では50m、30mの距離ではほとんどまっすぐに飛ぶという感じである。
和弓の構造で33間堂の通し矢は、軒下高さが限られているから矢速の関係で相当強い弓を引く必要があったのだろう。江戸時代に一昼夜で何本通し矢ができるかを競うギネスブックみたいな挑戦があったらしい。
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ようやく発見することが出来ました。
手際が悪くて。。。
洋弓をなさる事を記事を拝見してわかりました。
私は大学院に進学してから弓はほとんど触っていません。
5513さんのように研究の合間を見て引きたいとはと思っているのですが。。。
社会に出てゆとりが出来たらまたはじめようと思っています。
今度は弓術ではなく弓道が出来ればと思っています。
投稿: ますたーのり | 2006年5月29日 (月) 21時00分