ギリシャ戦、勝ちたかったですね。残念でした。日本は7時からでしたが、タイは2時間の時差があるので、5時キックオフ。連戦中に5時起きはなかなかハードでした(笑)。ここで最終戦の星勘定をしてもしょうがありません。選手は最後まで可能性を信じて戦うはずなので、それを応援しましょう。

期待をもって見ていたサポーターの皆さんも少し落胆されていると思います。ぜひ皆さんには日本代表の戦いについて、お酒でも飲みながらどんどん議論を交わしてほしいと思います。その議論の積み重ねが、未来の日本サッカーを作ると思います。

僕はサッカー経験者として冷静に今回の試合を考えています。今回の試合を「おれがいたら。」とか、「おれが監督なら。」と言うのは安易で浅はかです。今回も分析はしませんが、僕は、戦い方も試合の流れも選手の動きも全てにおいて、理解できるものだったと思います。

ただ、「サッカーは難しい。」改めてそう思いました。相手もW杯に出てきた強豪です。その相手との緊張感のある大きな試合では、どんな選手も最後まで人生を賭けたように戦います。チャンスもピンチもそう訪れるものではありません。勝負は本当に細部に宿るものだと感じます。

僕は大学3年生のとき、当時Jリーグであまり試合に出られていない選手で構成されたU-22のメンバーに一度だけ呼んでいただいたことがあります。そのとき、山本昌邦監督が2002年W杯のタカさん(鈴木隆行)のゴールを引き合いに、「隆行は指先の数センチでボールに触って点を取った。勝負を分けるのはゴール前の数センチだ。その数センチのために努力をし続けられるかどうかだ。」というお話をされました。

僕はそれ以来、ゴール前の数センチにこだわってきました。日々の練習や生活の中でいつも、もしわずかな差で求める結果に届かなくても納得できるのか、ということをいつも自問自答しています。

と言っても、いつもいつも張り詰めていたら気持ちがもちません。心のバランスは考えつつも、ただ、自分で納得した上で物事を選択するようにしています。

雌雄を決する戦いでは、息の詰まるような雰囲気の中、わずかな差で決着がつきます。努力を続けたからといって必ず結果が出るわけではありません。相手も同じようにその日のために努力してきています。

タイトルという形ではそれが報われない選手も多い中、僕はたくさんのタイトルを経験でき、本当に幸せ者だと思います。今も、いつかの数センチのために今を生きています。